アニス・タトリンが、ダアトの神託の盾に入団したのは、まだ十歳の時だ。
そもそも、アニス・タトリンは、神託の盾に入団する気なんてさらさらなかった。
でも、入団せざるしかなかったのだ……
その入団原因は、アニス・タトリンの両親にある。
両親たるオリバー・タトリンとパメラ・タトリンに読まれたスコアが、原因。
何せ、両親に読まれたスコアには、『汝、隣人を愛せよ』と言わんばかりのスコア内容。
詰る所、困った人に恵みを分け与えよさすれば幸せは訪れん。と、いったもんである。
それはそれでいいのだが……人間というのは綺麗よりも汚い。
つまり、両親は騙され……本人は騙されたと思ってない……膨大な借金を抱えた訳である。
それだけならまだいいのだが……その借金は、どう考えても一般人が一生働いて返せる金額ではないのだ。
そのせいで、アニス・タトリンも若干十歳という年ながらも、仕事をしなければいけなくなった。
しかし、十歳という若さで仕事を斡旋してくれる場所なぞなく……
その若さで働ける場所といえば、もう神託の盾以外なかったのである。
当時のアニスは、しょうがない。とか、そんな気持ちで神託の盾に入団し訓練し
ある時には、魔物の討伐にも行ったし、戦争にも参加した。
(ダアトは、戦争を起こす事はないが、傭兵として、他国戦争に派遣はしている……という捏造設定)
そして、アニスは、気づいた。
なんで、子どもの私が、両親の面倒をみなけりゃいけないのだと……
気づいたと言うよりもぶっちゃけたと言う方が正しいのか?
そりゃ、老成したりした両親の面倒を見るというのは大賛成だ。
しかし、両親はまだ老成もしていなけりゃ働けば働けるだけの体力も知識もある。
……やってられるかっ! と、そう思ってしまった訳だ。
しかしながら、当初のアニスは、両親の為にと一生懸命に訓練し戦いの経験をつみ……
六神将にも劣らない……下手したら六神将より強い……神託の盾の兵士となったのです。
そして、二十歳になった時……アニスは、導師守護役の一人に抜擢されたのです。
まぁ、彼女の力量を思えば当たり前ですね……
その頃に、アニスは六神将が一人ディストと出会います。
正確には、一人で寂しく食堂で食事を取っていたディストに在りしの己を重ねてしまった……ともいえるのですが……
何はともかく、そんなディストに声をかけ一緒に食事を取ったのが、アニスの二つ名を増やす要因になってしまうのだが……
そんな事、今のアニスに分かるわけもなく……と、言う訳である。
かくして歴史は回る。