私が、一人で食事を取っている時でした。
不意に、私の正面の席を陣取り一人の女性が食事をし始めたではありませんか。
六神将となってから、初めての出来事です。えぇ、私と共に食事をする人はいなかったのですから。
その女性は、長いツインテールに普通の神託の盾の衣装を着ていて、ただ、私に話し掛ける事無く
食事を淡々と勧めていくばかりで、何故わざわざ私の前を陣取る必要あったのか不明でした。

彼女は、食事を終えると静かに立ち上がり……私を見る。
そして、徐に口を開いて、私にこう告げました。

「また、一緒に食事を取ってもいい?」

私は、今までの人生の中で、一度も聞いたことの無いその言葉に、唖然としてしまいました。
何時も食事と言えば、一人で取るものばかりで……他人と食事を取ったのは、幼少の頃ぐらいじゃないでしょうか?
唖然とする、私を見て少し眉を潜めた彼女に、慌てて私は、頷く事で答えたのでした。

それから、彼女と私は、会話をする訳でもないのですが、共に食事を取る事が多くなりました。
まぁ、私は研究に忙しいので時間のズレや取らない日もあったので、一概に多い。とはいえないのですが……
結論的に、私と共に食事を取ろうとする人物なぞ彼女以外いないので、多いといえば多いという事です。
数十回目の食事を共にした時でしょうか? 私から、彼女に声をかけました。
内容は、何故私と共に食事を取るのか? です。
なんら、私と食事を共にとってもメリットが無く、どちらかと言えばデメリットが多いはずなので気になったのです。

「多分、一人で食事を取る貴方に、昔の自分を見たからかもしれないし……よく分からないよ」

気づいたら、貴方の前を陣取って食事してたんだから。
と、彼女は少し苦笑した様な笑顔を浮かべてそう答えてくれた。

「そういえば、今更だけど……貴方の名前って何?」

ブハッ。と、その言葉に咽る私。
てっきり自分が六神将のディストと知ってこう食事を共にしているモノだとばかり思っていたのに
彼女は、私の事を知らないと言う。そりゃ、私は研究で部屋に篭る事が多く外に出る事が無いですが……
まさか、私を知らない人物に出会うとは思いませんでした。
なおかつ、その知らない人物が私と食事を共にするなんて……前代未聞。

「ディスト。ディストです。貴女こそ……お名前はなんと言うのです?」

彼女は、私の名前を聞いて、少し驚いた様な表情を浮かべた後で、その小さな口を開き名乗りました。

「アニス。アニス・タトリン……。よろしく? ディスト」

何がよろしくなのかよく分かりませんでしたが、この変な自己紹介の後も
私とアニスが食事を共にするのは変わらなくて、前みたいな無言の食事でなく
時折、会話のある食事となりました。時々、アリエッタもこの食事に参加するのには驚きましたが……

そういえば、いつぞやか、アニスは自分がパペッターである事を話してくれましたね……
お礼……なんのお礼かわかりませんが、一体作って差し上げますか……


「どうです? このディスト特製譜術人形『トクナガ』は」
「うん。確かに技術的にも攻撃・守備面でもいいんだけどさ。ディスト」
「なんです?」
「デザイン。もう少しどうにかならなかったの?」
「………さて、このトクナガの機能なんですが」
「………はぁ」








可也矛盾点みつけて、慌てて修正。