道中。中々にユニークで呆れてしまい。
他のマルクト兵士に同情してしまう事が多く発生したが、それらは表記しない。
本当にマルクト兵士がかわいそうになる。
あの名代。本当に頭大丈夫か?

導師守護役アニス・タトリン奏長の日記より




グランコクマから出発し早三日。
タルタロスは、エンゲーブに無事なんとか到着した。
エンゲーブに到着した際。モースの放った鳩から手紙を受け取る。
中々にモースは、行動派。と、今更ながらに思う……
とりあえず、手紙を読むと……可也、導師を心配しているらしいモースの心情と
導師がいないせいで、進まない書類整理等の問題云々が、これでもかというぐらいに表記されていた。

そして、最後に無事戻って来る事を、私を含めて願っていると書いてある。
……そういえば、モースは、常識ある良人だったのを今更ながらに思い出す。
何せ、モースと話した事あるのは両親の借金を肩代わりしてくれた時ぐらいで、その後は、手紙ぐらいだ。
その手紙も、私がイオン様の導師守護役になった時からである……
私の先輩である、アリエッタも何気にモースの事は嫌いでは無く好きの分類に入るらしい。
しかしながら、モースとイオン様の二人で派閥がバッサリ分かれているのが、アレなのだが……

モースは、どちらかといえば、預言推進の大詠師派が過激な行動をしないように押しとどめている様にも思える。
まぁ、実際モースが何を考えているのかは腹を割って話した事が無いのでどうしようもない。
一応、モースは両親の借金を肩代わりしてもらったと言う恩がある……
そういえば、借金肩代わりをしてもらった其の時から、両親には出会っていない。
してもらう前は、しつこいほどに出会ってはなにやらクソッタレな事を話してきたが覚えちゃいない。

もしかして、モースが離してくれたのだろうか?
……いまここで考えてもしょうがない。今は、己ができる事をこなす事にしよう。
とりあえず……モースには無事エンゲーブ到着。導師イオン様の体調は良好。と書く。
そして、思い出した様に追記として……ダアト帰国後、社会勉強必須。と書いた。






大詠師モースは、アニス・タトリンから飛ばされた鳩から手紙をとり読む。
どうやら、なんら事故は起こっていないらしく安心。と、思ったのだが……
やたら、強調して殴りかかれた【社会勉強必須】に目を奪われ……思い当たる所があったのか溜息をついた。
導師イオン。今の導師は、レプリカというまだ子どもであり……
そういえば、そこらへんの勉強をさせていなかったと、今更ながらに思う。

そもそも、モースが導師イオンをダアト外。寧ろダアトの己の部屋からあまり出さなかったのは、 己を頭とする大詠師派が、導師イオンに対し何らかのアクションを起こし大事にさせない為だ。
それで安心しきって、書類整理の業務に忙しかったのだからしょうがない。と、言っても後の祭り。
導師イオン帰国後。本当に社会勉強させようと心に誓う。

今日の業務は、なんとか無事終了した。
少々部屋を出て、気分転換を兼ねた散歩を行うとしよう……





ふむ……導師イオンは、現在エンゲーブか……





「あ、モース……様」
「こんにちわ。アリエッタ……とシンク」
「なんで、アリエッタの後に間があるのさ」
「他意は、ありません。そうだ、これをあげましょう」
「……わぁ……クッキー」
「そんなもん貰ってもねぇ……」
「私は、此処最近、体重減量中なので、差し上げますよ」
「ありがと、です」
「一応、ありがとう」













よくよく考えたら、この二十歳でのモースの扱いが決まってませんでした。
なのでモースには良識人として存在してもらう事にします。
がんばれ、モース。がんばれ。アニス。(作者他人事