は、目の前の少女がタルトを少しずつ食べている姿を見て微笑んだ。
目の前の少女は、そんなに気づく事なくタルトを攻略するのに忙しそうだった。
は、ゆったりとした動作で少女の空になったティーカップに紅茶を注いだ後で、空を見上げた。

が、少女と出会ったのは随分前だ。
が、ダアトの詠師として勤めた年に新しい詠師と言う事で各部署に挨拶周りに行った時だった。
その時、は少女―――妖獣のアリエッタ―――と、出会った訳だ。

当初のアリエッタはまだ、導師守護役として活躍しており。
導師イオンと共に過ごしていた為、詠師として導師イオンの指示を仰ぐ際何度か出会う事もあった訳だ。
しかし、時が過ぎある時、アリエッタは導師守護役から降ろされてしまった。

その時、私の所へ真っ先に相談しに来たのには、驚いた。
何せ、数居る詠師の中で、最も新しい私を頼りに来たのだから驚かない方が可笑しい。
確かに、時折導師イオンとアリエッタの差し入れとして、デザート類を渡した事はある。

餌付け? なんて、思ってしまったのはしょうがないだろう。
アリエッタの出生を知ってる身としては……

何はともあれ、アリエッタは、私の場所に相談に来たりする事が多くなった。
そして、今も私の元に来て、丁度テーブルの上に置いてあったタルトを食べている。
タルトの食べかすが、アリエッタの服の上に落ちているのを見て、ため息。

「ほら、誰もとらないから。ゆっくり食べなさい。アリエッタ」
「……ん、……この前、シンクに、盗られた。です。
「はぁ……シンク参謀も子どもっぽい所があるんですね」
「………だから、早く食べる。の」

そんなに盗られるのが嫌なのか、急いで……と、言ってもその小さな口で一口で食べれる量は知れている……食べた為に
アリエッタは、喉を詰まらせてしまう。
そんな姿を見てしょうがないなぁ……と、苦笑しながら紅茶を注いであったティーカップを渡す。
紅茶を飲んで落ち着いたのか、アリエッタはまたタルトを攻略し始めた。
ただ、苦しかったのかその目尻には薄っすらと涙が浮かんでいた。

「アリエッタ」

私が名前よ呼ぶと、アリエッタはタルトの攻略を一旦止めて私を見て首をかしげた。

「幸せですか?」
「……イオン。様。の傍に、居れないのは、辛い、です……。でも、が居るから、幸せ。です。
 イオン様。も、此処に居たら。もっと、幸せです」

アリエッタは、少し悲しそうな表情をした後で、いつか……いつか。あるかもしれない光景を思い浮かべて笑顔を浮かべた。












でも、それは、結局……………。



















。遅かった。です。イオン様。と、ずっと。待ってた。です」
「やぁ。久しぶり。
「えっと……お久方ぶりです。さん」
「………はて、導師イオンが二人に見えますね。はっはっは」

。老けた。です」
「髭似合わないから、剃る事をお勧めする。ってか剃れ」
「今までご苦労様です」
「……まぁ、此処があの世と言うヤツですか? とりあえず、説明してください」