神託の盾特務師団長であったアッシュは、キムラスカ=ランバルディアに戻ってきた。
正確には戻された。導師イオンとその他の面子の手によって。
そもそも、アッシュはヴァンの手によって誘拐されたキムラスカ王族なのだからなんら問題は無い。
ただ、神託の盾として所属しそれなりに高い地位を手に入れていた為に事前、事後処理に面倒がかかったが
概ね大きな問題も無くアッシュは、キムラスカ王族として帰属した。
ただ、アッシュという名前は神託の盾として働く為の名前だった為。
キムラスカ王族のアッシュとは名乗れずに居たのだが……
「俺の名前を返す。元々、この名前はアッシュで、この場所もアッシュの場所だったんだ」
そんなアッシュにルークはそう告げた。
無論そんな言葉は、一蹴する。バカヤロウ! と言う大声を張り上げてだ。
アッシュの反応に、ルークは驚いた様に眼を見開いた後で、口篭る。
そんな二人に助け舟を出したのは、二人の母であるシュザンヌだ。
なら、アッシュとルークの名前を合わせた名前を名乗れば良いわ。
と、喧々諤々(アッシュの一方的)な二人を見たままでそう告げた。
「アーク。アッシュ。貴方はこれからアークと名乗りなさい。
二人の絆が篭った名前。そして、古代語で『不滅の絆』を意味する言葉。
貴方達二人にぴったりね」
シュザンヌは、そう言って微笑んだ。
そんなシュザンヌの言葉に、アッシュはわかったか! 俺はコレからアークだ!
と、叫び。だからお前の名前を返してもらう必要は無い! と、大声で告げた。
「その名前は、お前が生きてきた名前だ。お前じゃないヤツがその名前を名乗れるかよ」
と、後日まだ名前の事でごにょごにょ言っていたルークにアークはそう告げたのだった。
「アッシュ……じゃなくて、アーク」
「なんだ」
「俺、旅に出ようと思う」
「いきなりだな。頭大丈夫か?」
「俺、世界を見て回りたい」
「人の話聞いてるか? 屑」
「じゃ! 行ってきます!」
「だから、人の話を聴けっ!!」
ルークがバチカルを旅立ちました。
アークのストレスが30ほど溜まりました。
シュザンヌ様が、少し腹黒くなりました。
ファブレ公爵の胃薬使用量が増えました。