ご主人様は、お子様だから、結局は、大人の汚い都合で死んでしまったのでした。


「ご主人様は、結局、かわいそうでしたの」

タタル峡谷。セレニアの花が咲く広場でミュウはそう告げた。
この日は、ミュウのご主人様たるルークの式典。
でも、あの時のメンバーは、その式典に参加などせずこの場所に居た。
だから、ミュウのこの言葉は、静かにメンバー全員の耳に入ってしまう。

「まだ、子どもなご主人様に大人たちは、押し付けてしまったですの。
あの崩壊も瘴気の中和も、オリジナルの馬鹿な思いもぜーんぶ押し付けられたですの」

ね? と、ミュウは小さな首を傾げて後ろに居るメンバーを見る。

「まともに戦う事なんてできないのに、戦う事を強要され。
それを止め、強要した人を咎めなければいけない人にも強要され。
手を汚すはずなんてないはずなのに、汚してしまって……
ご主人様は、やさしすぎたですの。でも、そのやさしさは大人たちの勝手な思いで汚れてしまったですの」

ね? と、もう一度首をかしげてメンバーを見る。
思い当たるメンバーのうち三人が、顔を少し青くしていた。
今更、自覚しても遅いのに。

「オリジナルと約束した。でもご主人様は違うから覚えてないのに。
そして、オリジナルが現れたらオリジナルの言う事を全面的に信じる。
なんでですの?」

あの崩壊の原因を決め付けたオリジナルとオリジナルの意見しか聞かないメンバーを思い出す。

「だぁれも、ご主人様の話を聞こうとしない聞かない無視する嘲笑する。
ご主人様は、良く壊れなかったですの。子どもの癇癪? だって、ご主人様は子ども」

本当の年齢は、七歳という子ども。
誰もそれを知らなかった。それはしょうがないかもしれない。でも

「瘴気中和。みんなご主人様に死ねと言う。誰も、それ以外の解決方法を考えようともしないで。
強要して、自由を封じて、意見も聞かない、何も考えない。楽したいだけ。
僕、思いますの。人間に生まれなくてよかったって」

あまりにストレートな物言いに、メンバーの誰もが口を紡ぐ。
思い当たる事が多すぎてありすぎて、言い訳を言った所で、意味がない。
むしろ言い訳を言ったら、惨めで汚れている事を認めてしまう。

「レプリカの癖に。と、罵った。偽者の癖にと……
でも、こう思うですの。誰もがレプリカとして産まれたいと思った事なんて無いと。
きっと、ご主人様もそう。誰が、レプリカとして生んでくれって頼んだ。って言うです」

人間として産まれたなら未来は、少し……違っただろうか?

「死ねと、告げた。なのに、最後に生きろ。どこまで……
ご主人様は可哀想で、結局……ご主人様は、誰からも……」

ミュウが、不意に空を見上げる。そこにあるのは月。
メンバー全員の顔は、青い。

「結局。僕も遅いですの。遅すぎたですの。終わってしまった事に対してこんな事を告げても。
ご主人様は、帰ってこないですのにね。きっと、僕は、皆さんに八つ当たりしてるだけですの」

そう、すべて終わってしまった後に、こんな事を言ってもしょうがないのだ。
だから、これは八つ当たり。あの時何もできなかったから。八つ当たり。

「すべては、おわったこと。と、言うヤツですの」

一番許せないのは、何もできなかった。己です。ご主人様。










やっぱり、おかしいなぁ。。。。
arikun師、ごめんなさい。せっかくリクエストくれたのに……