テンション最高潮と、言って良い自分です。あ、真紅です。  やっとお待ちかねの水銀燈が、やって参りました。  うん。アニメで見るのも可愛いし凛々しかったが、実際見るとすごっく儚可愛い(はかなかわいい)。  とりあえず、原作でもあった鏡から現れた水銀燈が、私のブローチ見て襲い掛かってくるんですけども……  ブローチ欲しいみたいなので手渡した後で、倒れたままの状態で自分は口を開いた。 「貴女。名前は?」 「……第一……ドール。水銀燈」  毎回思うんだけど、ネグレ親父ってこっち……欧米諸国の何処かの出身と考えるんだけども……  何故、日本語? 漢字? なに? 日本フリークスなの? ネグレ親父…… 「そう、素敵な名前ね。私は第五ドールの真紅よ……順番で言うなら、貴女の妹になるのだわね」  だわね。真紅になってから、言葉を発する時に高確率でだわ。がついてしまう。ネグレ親父め変なオプションつけやがったな。 「妹……?」 「一番目に生み出されたのが貴女。それから後に生み出されたのが私。ならば、そうでしょう?」 「……うん」  と、言うか……現在。夜です。結構煩いのに起きてこないサラの家族と私達の真横で寝ているサラの図太さ? に乾杯。 「立てる?」  先に立ち上がってから、手を差し伸べてそういって立たせてみたのだが、  やはりマトモに立つ事すら今は辛いのかフラリと倒れそうになる。  慌てて支えて立たせるが……立つのが一杯一杯。生まれたての小鹿みたいである。 「ごめんなさい……」 「謝らなくていいのだわ。練習していきましょう? 人間の赤ん坊だって最初は這いずる様に動くのだから……  それから考えたら、こうやって立てたというだけでも素晴しい事なのよ?」 「うん……」  あぁ、しおらしい姿とちょっと困ったような表情で小さく笑む姿が可愛すぎる。気がついたら抱きしめてました。 「し、真紅?」 「あら、ごめんなさい……」  とりあえず、自分のところまで自力で来たと考えて……こうやって支えながらとは言え立たせている事は結構辛いだろう。  と、言う訳で、一旦水銀燈を床に座らせ壁に背を掛けさせてから、己の鞄を開ける。  水銀燈の鞄ではないが、別に大丈夫だろうと思う。  座っている水銀燈を抱き上げて、鞄に寝かせる。  水銀燈は突然の事に少々怯えていたが説明すると、ホッとしたのか直ぐに瞼を下ろし眠りについてしまった。  さて、自分の鞄がないのでクローゼットの中で眠る事にした。別に鞄の中じゃなくとも寝れなくもない。  ただ、能力で消費した力みたいなモノは回復しないが……どうでもいい。  本当なら、敷布団で眠りたい。が、此処にそんなものは無い。  寧ろ、敷布団って文化が無い!! 残念である……もしあっても、寝れない訳ではあるが。  動く人形=悪霊=エクソシストォオオ!!! なフラグが立つ。  寝よう。とりあえず寝よう。寝て起きたら水銀燈と…… 「あーっ! 真紅こんなところで寝てた!!」 「……あ……サラおはよう」 「うん。おはよう! じゃなくて、なんで真紅クローゼットで寝てるの?」 「鞄をね、昨日の夜に来た姉妹に一時的に譲ったからよ」 「ふぅ〜ん。じゃぁあの鞄に誰が入ってるの?」 「第一ドールの水銀燈。私達RozenMeidenの一番上のお姉さまよ」  ふぅ〜ん。と、やる気の無い声でそういいながらサラは鞄の方を見る。 「でも、真紅の方がお姉さんっぽいね!」 「あら、ありがとう……って水銀燈、鞄から出てるの?」  あ、水銀燈って名前なんだ。と、サラは小さく言った。 「だって、私が真紅探してたのも、水銀燈が、真紅真紅って言うから探してたんだもの」 「起こしてくれてありがとうなのだわ」  サラに御礼を言ってからクローゼットを出て壁に背を預け座っている水銀燈へと近寄る。 「おはよう。水銀燈。良く眠れたかしら」 「あ、真紅……」 「おはよう。よ? 朝は、おはようから始まるのだわ」 「お、おはよう」  うん。可愛いわ。もう可愛すぎるね。ツンデレ水銀燈もいいけど小動物系水銀燈もいいわぁ……  でも、どちらも両立できないんだよねぇ……残念である。  それから、自分と水銀燈そしてサラを巻き込んで水銀燈が普通に動けるようになる練習を続ける。  そして、サラと自分で水銀燈に色んな物事を教えてゆく。  この時期の水銀燈は、殆どモノを知らない状態だった。これに喜んだというか嬉しかったのはサラである。  まるで妹が出来たかのように水銀燈に、これはあれで、などと喜々として教えているのだ。  傍から見てほほえましい。  こんな感じで日々が過ぎてゆくのだが、やはり不完全である状態ゆえなのか歩き方が安定しない。  自分の杖を持たせて歩かせてみたのだが、杖が短いらしく余計に歩きづらそうだった。  水銀燈と真紅の身長差を少し忘れていたので、倒れそうになったのを慌てて受け止める羽目になった。  こんな風に日々が過ぎてゆけば良い。と、思っていたが……物事は須らくそうは行かない。  nのフィールド。初めて入った一回目を除き入る気すらなかった場所。  双子姉妹の事を忘れていた訳ではない。寧ろこの当時から翠の子は戦いに消極的だった覚えがある。  だが、蒼い子はそうではなかった様だ。アリスを盲目的なまで目指している。  つまりローザミスティカの、命の奪い合いを実行する火種である。  そして、今此処に居るのはその蒼い子と自分。  蒼い子は庭師の鋏を手に、自分は杖を手に向かい合っている。  蒼い子が、なにやら大層な建前を並べていっているが……どうでもいい。  そもそもアリスゲームに興味すらもってない自分としては、このイベントは困る。  水銀燈がツンデレに移行するフラグなのだ。    自分が、正式な第一となった水銀燈を祝福すればいいだけの話なのだが……  自分が真紅という点で、ある意味原作の流れはその大半が変わってしまったと考える。 「あぁ……めんどくさい」 「なっ……真紅! 君はアリスゲームをなんだとおもっているんだい!!」 「しらんよ。ネグレイト親父が勝手にやってアリスなって会いに来い。とか馬鹿じゃねぇのだわ?」 「お父様を侮辱するか!! 真紅!!」 「いや、事実なのだわ?」  うーん……怒らせた様だ。寧ろ、私以外の姉妹が聞いたら全員怒るか? いや、雛苺は怒らないかも。 「君は、お父様に逢う価値すらない! 君のローザミスティカは僕が貰う!!」 「だが、断る!」  切りかかってきた蒼い子の斬撃を杖を持って受け止める。  折れない杖は優秀です!!  蒼い子は、構わず何度も何度も斬りかかって来る。原作より三割り増し速い気がするが裁けなくは無い。  まさに、真紅のスペック様々である。  斬りかかって来る蒼い子の胴は、実にがら空き。なので、杖をレイピアの様に構えそのがら空きの胴めがけて突き入れる。  斬撃よりも早く胴をついた為。斬撃は中断され後ろに吹き飛ぶ蒼い子。 「ねぇ? 蒼星石? 私、本当にアリスゲームに興味ないのだけど?」  聞こえてるかどうかしらないが、そんな事を投げかけておく。  どうせまた斬りかかってくるのだろうと、自分の周囲に薔薇の花びらを舞わせる。  案の定、斬りかかって来た所薔薇の花びらで迎え撃ち。杖を下段に構える。  さっさと終わらせて水銀燈とサラとジョナサンでほのぼのしたんだよ!!! と、心で叫び長柄下段から杖を振り上げた。  しかし、振り上げた杖は鋏に受け止められる。  毎回思うんだが、薔薇の花びら攻撃力低い!!  一旦間合いを取る自分と蒼星石。睨み合いが続くがその睨み合いは…… 「……真紅」  水銀燈の登場で、崩れた。 「水銀燈来ては駄目!!」 「え」  ちっ!! 蒼い子動きやがった!! 「水銀燈!!」  薔薇の花びらが間に合う訳も無く水銀燈は、蒼い子の鋏で胴から真っ二つにされた。  慌てて水銀燈の元へと向かうが、蒼い子が立ちはだかる。 「邪魔ァ!!!」  花びらを叩きつけ杖を振り下ろした。花びらは余り効果をなさず杖は鋏に受け止められるが…… 「どけだわぁあ!!!」  蒼い子の胴に思いっきり横から蹴りを喰らわせる。  横に吹き飛ぶ蒼い子。原作では好きキャラではあるが、今はそんな事言ってられない。 「水銀燈大丈夫かだわ!?」  かだわってなんだよ!! ぇえい!! 水銀燈を抱き上げ様とした瞬間。  床に呑まれ行く水銀燈。 「あ、あぁ……真紅たすけて。真紅」  水銀燈が、必死にあげた手を握るが呑まれ行く速度は変わらず、結局床に呑み込まれ手を剥がされてしまう。 「…………」  分かっているとしてもギリギリと歯をかみ締めてしまう。  原作どおりなら水銀燈は、戻ってくるだろう。正式な第一として、ローザミスティカを与えられ純然として。  いつの間にか蒼い子が、座り込んだ私と対峙していた。 「こんな別れを生むのを望むか……」 「彼女は、僕たちと違う」 「………アリスゲームは、絶対に認めんのだわ……」  そして。 「あのクソ親父も絶対認めん!!」 「また侮辱するか!! 真紅!!」 「黙れなのだわ!! この世に置いて親が子と子の争いを見て喜ぶか!!?  求めるはAlis!! ざけんなぁ!! 子を生贄にして子を求めるか!!!  それが親かぁああああぁぁ!!」  自分の剣幕に、蒼い子は渋い表情を浮かべる。そのまま何も言わずに蒼い子はその場を立ち去っていった。  蒼い子にも思う所はあるのだろう。Alisになる為には、双子である翠の子も殺さねばならないのだから。  nのフィールドから戻ったらサラがジョナサンを抱きかかえて此方に駆け寄ってきた。 「真紅。水銀燈は!?」  その言葉に、首を横に振って答えると、まだ幼いサラでも分かったのか……サラは目じりに涙を浮かべた。 「サラ」 「なに? じんぐ」 「父親は大好き?」 「うん」 「そう、私は、大嫌いなのだわ」  後書き  真紅の口調が安定しないのは、  真紅の口調と転生前の口調が混ざってしまってるため。  あと、サラと水銀燈。蒼い子の口調は、オーベルを見て内容は覚えているけども  口調まで覚えていないから変になっています。