月が浮かぶ夜。  部屋の主たるサラは、ベットで眠る。  飼い猫たるジョナサンも、今日ばかりはなのか。サラの隣で丸まって寝ていた。  そんなサラを見る。  脳裏によみがえるのは、水銀燈の事。  そして、覚えてる限りのRozenMeidenの原作知識。  オーベルは、真紅と水銀燈が何故、あぁ言う犬猿の仲になったのかを描いた物語だった。  それと同時にローゼンの曖昧さと勝手さが浮き彫りになった物語でもあった。  物語を知っていると言う余裕は、実際に置いて余りにも無意味に近い。  知っていると目の前で起こった。じゃぁ、まったく違うのだ。  知ってるからこその罪悪感。知ってるからこそ未然に防げなかった後悔。  この後の展開上。水銀燈は、復活する。  ローザミスティカを所持した第一ドールとして、完全で不完全なRozenMeidenとして。  何を持って完全なのかと言われれば、答えられないのだが……完全で不完全なのがRozenMeidenだろう。  ……辛気臭い。 「はぁ……確か、立派なレディにおなりなさい。と、言うんだったか?」  サラの寝顔を見てそんな事を呟く。  契約は、既に解除してある。次の時代へと移り変わらなければならない。  それが、物語を進める為に必要な事。  nのフィールド。相変わらず気に食わない。何がといわれれば不明だが……  気に食わないという感情が、胸の中で渦巻いている。  何処かで、ラプラスの魔が見ている気がしないでもないが……  あの変態兎はどうでもいい。寧ろ、目の前に現れたらぶん殴りたいとは思う。  まったくもって苛々する。この後の展開を知ってるから余計に苛々する。  水銀燈にどんな顔で会えって言うんだ。 「………まったりしたいのだわ」  縁側に座って日本茶を啜りたい。  真紅になってから、紅茶尽くしだった為。日本人が中の人としては緑茶を飲みたい。  そんな事を考えながらnのフィールドを当ても無く歩いて行く。 「真紅」  何処か高揚した聞きなれた声。と、言うか水銀燈の声で名前を呼ばれる。  その声の方を見れば、やっぱり水銀燈がしっかりと立っていた。  そんな水銀燈の姿を見て。どんな顔をしてとかそんなのがすっぱりと頭から抜け出る。  ミスティカが無い状態で、歩ける様に練習したのは本当に短い間だった。  それでも、サラと一緒になって水銀燈が、不安げに一人で歩ける様になったのには嬉しかった。  そんな水銀燈が、しっかりと立って歩いて直ぐ近くまで来たものだから…… 「水銀燈!!」 「きゃぁっ!?」  つい、飛びつく様に抱きついちゃったんだ。  うん。親が子の成長を見て感動するような……そんな感じ。 「あぁ、よかったのだわ。ごめんなさいね。ごめんね。水銀燈」 「し、真紅?」  抱きついてその感動も、少し過ぎれば先ほどの罪悪感が徐々に戻ってくる。  だから、私が水銀燈に向ける言葉は、懺悔染みていたと思う。 「貴女が真っ二つにされた時、絶望したわ……貴女が、飲み込まれてゆく時。  こんなにも自分が無力だって嘆いたわ……」  知っていても何も出来なければ無力。  改めて私は、水銀燈を抱きしめた。  無かった頃の様な弱々しさを感じられないが、水銀燈には違いなく。彼女こそが水銀燈。 「お父様に、助けてもらったのよ。ローザミスティカもこの服も全部頂いたわ……」  私の鞄もある。と、水銀燈は言う。  やっぱりあのネグレ親父が現れたか……と、水銀燈を抱きしめながら思う。 「これで、ちゃんと私はRozenMeiden第一ドールだって言えるわ!」  興奮気味の水銀燈を放し、改めて水銀燈の顔を見る。  私は、笑顔を浮かべる。 「おめでとう。水銀燈……あら? お姉ちゃんと呼ばないといけないかしら?」 「う……真紅に、そう言われるとむず痒いわぁ……」  どう言う意味なのだわぁ? と、水銀燈の頬に手を伸ばしそのまま頬をふにっと引っ張る。  あうあう。と、少し嫌がる水銀燈を見て、水銀燈が水銀燈であると改めて認識しなおす。  無くても在っても変わらない。それが嬉しかった。 「ねぇ。水銀燈」 「なぁに?」 「貴女……やっぱりAlisを目指すの?」 「もちろんよ? だって、お父様に逢えるのだもの」  そう。と、私は頭を垂れる。 「もちろん。真紅もそうなのでしょう?」 「いいえ。私は、目指さないわ」  え? と、私の言葉に信じられないといった表情を浮かべる水銀燈。 「お父様……いや、ローゼンが目指すAlis。には絶対になりたくない」 「な、なんで?」 「子を生贄として子を求める親が親な訳無いじゃない……」  私の言葉が、わからない。と、水銀燈は少し後ろに後ずさる。  RozenMeidenで、直接ローゼンと出会ったのは水銀燈だ。  ミスティカを得る前から、水銀燈の心の中にはローゼンが居る。  ある意味、蒼い子ほどローゼンに逢いたいと言う願望は強いのかもしれない。 「それでも! 私達はRozenMeidenよ!? Alisを目指さないでどうするの!?」 「……目指した先に、幸せはあるのだわ?」  はっきり言って無い。と、私は思う。  RozenMeidenの中には、仲の良い者。雛苺と金糸雀。姉妹の絆が強い者。蒼い子と翠の子。  Alisになると言う事は、ローザミスティカを集めるという事。  ローザミスティカを集めると言う事は……壊さなければ、殺さなければいけないと言う事。  果たして、親しい者を殺してまでAlisになる価値はあるのか?  完全な少女。純真無垢の少女。  なる為に必要なのは、親しい者を壊し殺して得る命の灯火。  果たして、それはAlisになれる資格というヤツがあるのか…… 「別に、私はいいのだわ……私は、水銀燈とサラとジョナサンと共に居た短いけども充実した日々が好き。  でもね。Alisになると言う事は、それを壊して……もう二度と戻れなくなる」  あぁでも。原作を知ってるから好きとかそういうのを抜いて。考えるなら…… 「ねぇ。水銀燈」 「……なに」 「貴女になら、私は殺されてもいいって思うのだわ」  Alisを目指さない私。Alisを目指したい水銀燈。  これが、もし他のドールだったら私は、そのドールと全力で戦うだろう。  好きとか嫌いとかを除いてだ。  でも、水銀燈になら別に奪われても構わないのかもしれない。  短くとも実際に時を共にしたからなのかは、不明なのだが。 「ジャンク。かしらね。私」 「ジャンク。なのね。真紅」  私の言葉に、困惑した様子でそう返す水銀燈だった。 「さてと、どうせ見ているのでしょう。ラプラスの魔」  水銀燈に背を向けて誰も居ない場所にそう声を掛ける。  すると、その誰も居ない場所から変態兎が、現れた。  うん。適当に言ってみるものだと、なんとなく思う。 「おや。バレていましたか……」 「さぁ、次の時代に回して頂戴。この時代では、アリスゲームが成立しないのだわ」 「よく、ご存知で」 「ただの勘なのだわ」  ラプラスの言葉に、適当にそう返す。ラプラスは顎に手を添えて私を見やる。 「では、よろしいですね?」 「えぇ、よろしいですわ」  すると、私の体が青白い光に包まれる。と、同時に浮遊感。  そのままの状態で、私は再度水銀燈を見る。  其処には驚いた表情の水銀燈。 「水銀燈。次の時代で待っているわ。貴女になら、ミスティカを預けられる。探し出して頂戴」  まるで、恋人の別れのようなセリフに私は、胸の中で笑ってしまうのだった。  そして、視界は暗転する。  真紅を驚かそうと思って声を掛けた。  案の定真紅は、驚いてというかいきなり私に抱きついてきた。  抱きついてきた真紅の目には、涙が浮かんでいた。  そうしたら、真紅がいきなり私に謝って来た。  でも、真紅それは違うの。私が勝手に真紅の後を追ったから。  真紅は、最後まで私の手を握ってくれたじゃない。  そして、今こうしてちゃんと抱きしめてくれるじゃない。  だから、真紅。謝らなくていい。  真紅が、落ち着いて。私がちゃんとした第一ドールになったと、告げたら。  真紅は笑顔を浮かべておめでとう。と言ってくれた。嬉しかった。  でも、お姉ちゃんと呼ばれるのはなんかむず痒い。  どちらかと言うと、お父様に助けられる前を思ったら真紅がお姉さんっぽい。  でも、私は第一で真紅は第五。むず痒い。  そして、真紅は、私にAlisを目指すのか聞いてきた。  私は、当然Alisを目指すと言った。だから、真紅も目指すのだろうと、尋ねると……   「私は、目指さないわ」  私は、最初真紅の言葉を理解できなかった。  真紅は、Alisを目指さないという。  その後、私は真紅になんか言ったと思うのだが……  結構混乱していたので、あまり内容を覚えていない。  ただ、真紅が真紅自身を「ジャンク。かしらね。私」と、言った時。  真紅は、悲しげな表情を浮かべていた。  不意に真紅は、私に背を向ける。  真紅は、何も無い場所に声を掛けると。変な兎が現れた。  その兎と真紅は、一言二言話した後で、真紅が青白い光に包まれる。  そのまま真紅は私を見た。 「探し出して頂戴」  その言葉を最後に真紅は、暗闇に消えた。 「では、貴女も次の時代へ……」  私が、最後に聞いた言葉はソレだった。  全てが暗転した。  あとがき。  真紅の知識に追加。  ドラマCD。薔薇水晶改造計画。  銀様。原作より穏やかな状態でオーベル時代終了。  次回から、RozenMeiden第一巻。  ジュンとの出会いとなりますけれろも。  どうしよう? ブーさん襲ってこないよ?w  アビスの方は、お話考えてるんですが……  アニス二十歳は、リメイクというか完全に書き直してうpしようかなと思ってます。  が、どうやって書き直したら違和感なくなるだろうか? と、考えてます。  一応、ENDまでなんとか書き上げたらうpろうかな? とか思っているのですが……  いったいいつになるんだおるか? と、自分に失笑。  東方プロジェクトで、幻想郷誕生前に転生って話も書いてみたいです。  アルカディ○とかでちらほら見かけるようになりましたしね。  幻想郷誕生前転生。  主人公の名前とか一切考えてないんですが、  能力は……若と老を操る程度の能力にしようかなとか。  まぁ、かけるかどうか不明なんですがwww  アビス。もう、PS2も無くてソフトも無くて。攻略サイト見ながら展開思い出しながら描かないと書けない。  これが一番の要因だろうですだ。  でもね。もう3周(一周目自力。二周目強くてニューゲーム。三周目チート乙)しちゃったら飽きちゃって……  やりこみタイプじゃないんです。私。  一時期の楽しさ。というか、ミニゲームとかどうでもいいタイプの人間なんですよ。  物語ガツガツ進めて。はい終わりーっつーねぇ?  好きですよ? アビス。 それだけは間違いないです。  ではでは。